出張の思い出(極寒編)
海外出張の場合、そんなに変なところに行かないもんですよね。だって仕事ですから、会社や工場があるところに行くわけで、そんなに変なところじゃないわけです。しかし、たまには変なところ、普通じゃ行かないよなあ、みたいなところに行くこともあります。今日はそんな変なところに行った時の思い出です。
北欧フィンランドの会社に勤めてた時期がありまして、その時に日本のお客さんを連れてフィンランドに出張したことがあります。季節は冬。本社のあるヘルシンキや工場があるオウルだけに行ったのではつまらないと現地の責任者が(勝手に)思ったようで、「もっと思い出に残るいいところに行こう!」ってことで、工場でのお客さんとの会議もそこそこに、北の最果ての地、北極の一歩手前のトナカイだらけのラップランドに行って一泊することになりました。確かに冬のフィンランドは寒いし暗いしでつまらない(笑) サウナに入るくらいしかすることがありません💦
ならばってことで極寒の地ラップランドに行ったわけですが、当日の気温がマイナス27度。これは普通に考えるとやばい気温ではないかと、野外でのアクティビティなんてやっていいのか?現地の人曰く、マイナス30度まではオッケーなんだそうで(笑) 何がオッケーなのか?は知りませんが、予定していたアクティビティを予定どおり開催します!そのアクティビティとは、スノーモービルで雪原を走り回る!ってやつです。当然ながら私たち免許持ってないと思うけど?そんなの関係ない?現地の貸スノーモービル屋さんで、15分くらい、操縦の基本を教わります(笑)そして、スキーウェアみたいなつなぎ服に着替えていざ出発です!スノーモービルはヤマハ製です!でかい!大型バイクよりでかいぞ。操縦は基本的にバイクのような感じで、右手でスロットルを回してエンジンぶん回してハンドルで行きたい方向に向けていくわけです。バイクには若いころ乗ってた私ですが、スノーモービルなんて生まれて初めてですので、最初はなかなか曲がれません。また勢いがつかないとなかなか雪を上を疾走しません。そろそろと運転してはダメなのです。躊躇してはいけないのです。乱暴なくらいがちょうどいい感じのようです。そして、うるさい!すごい爆音です。
いよいよ出発です。総勢10人くらいでインストラクターが先導して、ぞろぞろ1列で続きます。最初はゆっくりでしたが、だんだん速度が上がっていきます。雪原を疾走していきます!雪と氷交じりの風が顔面を直撃します。ゴーグルしてるとは言え、隙間から冷たい風が入ってきて、もう顔はカチンカチンに凍っているような。。ゴーグルが曇ってきて前もよく見えなくなってきました!怖いよー! ちょっと止まってもらえないっすかね? そんな気配ないなあ。。でも、ここで置き去りでもされたら、命にかかわります!(笑) 必死で速度を上げてついて行きます。気が付くとなんかすごいスピードで走っているですけど。。。日本の法定速度は優に超えちゃっているような(笑)いいんでしょうか?? ちなみにこの辺りの緯度ですと冬は昼間でも真っ暗です。ヘッドライトの明かりだけが頼りです。出発するときに行先がどこか?なんてなーんも聞いてませんし、誰も気にしていません💦 とにかく走り回るのが目的のようです。。。
よく覚えていないのですが、多分1時間くらい走り回ったのではないでしょうか? 途中で、雪の山に激突して埋もれた人などを救出したりしながら、なんとか出発地点のスノーモービル屋さんまで戻ってきました。真っ暗だし、みんなゴーグルして顔がわからないし、誰か1人くらいいなくなっても気が付かないのでは?と心配になります(笑)
これって日本じゃアウトだよなあと思いました。が、海外ってそういうもんですよね。事故なく帰ってこれたから良しとしましょう!
さて、アクティビティはこれで終わりではありません。その後は夕食の後で、恒例の、サウナ行った後で凍った湖にドボンするという儀式が待っています(笑)
ちなみに私たちは日本人が6人(そのうち、お客さんが3人)と、ヘルシンキから参加したフィンランド人が2人という感じでした。サウナに関してはフィンランド人が入り方と氷の張った湖に開けられた穴にドボンする作法をドヤ顔で語ります。極寒の地で素っ裸で氷の張った湖にドボン!するなんて正気の沙汰ではありませんが、「ここではみんながやるんだよ(笑)」と言われては、逃げるわけにはいきません。ここまで来るとお客さんだろうがなんだろうが立場は同じです、日本人として恥ずかしい真似はできません! 見事にがっつりサウナにはいり、湖にドボンしてみせましょう!と覚悟を決めたのです。
そして、説明していたフィンランド人が最後に一言、「今日俺はちょっと風邪気味なので、残念だけどパスするね、てへっ」と、、見事な逃げっぷりです(笑)
日本人の場合は、風邪ひいてようが何してようが、変なプライドが邪魔して、ぜったい、ここで、「私はパスします」なんて言えないです。悲しい性ですね。
さて、全裸になり、サウナに入ります。ここまではオッケーです(笑)サウナ気持ちいい!すっかり温まりました。ここからが試練です。サウナ小屋から湖までは約20メートルくらい、凍った地面をはだしで歩いてドボンの地点まで行きます。歩き出して気が付いたのですが、ゆっくり歩いていると足裏と地面の間が凍り始めてくっついてきます。数秒で凍る感じです。これはやばい!急ぎ足で行くしかありません。湖畔に着くと、桟橋みたいになったその先の凍った湖面に直径2メートルくらいの穴が開いてます。そこに梯子がかかってます。これを伝って、そろそろと入水するのですね。さすがにドボンと飛び込むんじゃないんだ、よかったー。
実際やってみてわかったのですが、外気温がとにかくすごいので、実は、水の方があったかい(笑)サウナ小屋から湖までが地獄の寒さでしたので、入水すると、なんだかぬるいお風呂はいったような気分になりましたよ。人間、慣れって怖いですねー。 何分水の中にいたのか覚えていませんが、水に入ってない頭はガチガチに凍ってます! こんな経験他ではないっすよ。確かに(いいか悪いかは別にして)思い出にはなりました! ありがとうフィンランド!
こんなことを日常的にして喜んでいるフィンランド人って、さすが、世界幸せランキングでいつも上位に来るわけです。見習いたいものです。
以上です!